貸切バスの片道送迎は可能?料金相場や注意すべき点について解説
2024/12/17
貸切バスの片道送迎は可能
貸切バスは片道送迎にも柔軟に対応可能です。集合場所から目的地まで片道のみの利用もできます。団体旅行やイベント、結婚式の送迎などに便利です。ただし、片道利用のみの場合でも営業所への回送料金が含まれます。そのため、一概に往復利用と比べて安くなるとも言い切れません。移動距離や時間に応じて最適な利用できるように、事前にバス会社に相談するのがおすすめです。
貸切バスの送迎パターンと料金
ここでは貸切バスの送迎パターンと料金についてご紹介します。上述した通り、貸切バスは実際の利用時間以外にも費用に含まれる時間があるため、その点をしっかりと理解しましょう。
往復送迎
貸切バスは、通常往復送迎で利用されます。集合場所から目的地へ移動、最終的に元の場所に戻って解散という流れです。貸切バスにお客様が乗っている状態を「実車」と呼びます。しかし、貸切バスの料金はバスドライバーの拘束時間と移動距離全体に発生するものです。そのため、バス会社の車庫から出発地や帰着地まで移動する「回送」や、その前後にある「点検点呼」時間も加算されます。また、貸切バス料金に含まれるもの・含まれないものがあり、含まれないものは当日実費精算となりますので、注意しましょう。
貸切バス料金に含まれるもの | 貸切バス料金に含まれないもの |
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片道送迎
一方、片道のみ貸切バスを利用する場合「費用は往復の半分くらいかな?」とイメージしてしまいがちですが、そうではありません。実際にはお客様がバスに乗車せず車庫まで帰る「回送」料金も発生するため、イメージよりは高く感じる場合もあります。もし回送で有料道路や高速道路を使う場合は、当日実費となります。ただ片道だとその場での精算が難しいため、事前払いになるでしょう。
また、貸切バスの運行は「最低利用時間が3時間(点検時間を含めて5時間)」と定められています。30分や1時間の利用でも5時間分の料金がかかるので、短距離移動で少人数の場合は別途移動手段を考えてみても良いでしょう。
往復利用の片道送迎もある
また、以下の場合は片道送迎を2回するケースも存在します。
- 出庫〜出発地〜目的地の距離が近い場合
- 現地待機が長期間の場合
- 現地の駐車場が確保できない場合
例えば東京23区内の会社から、同じく23区内にある施設へ移動します。ただその際に現地で8時間以上待機しなければいけない場合、現地待機用の駐車場が必要ですよね。待機中のバス利用料金も発生しますが、この時バスの車庫に戻れば利用料は発生しません。往復と片道どちらが安くなるかは、利用方法や目的によって異なります。不安な場合はバス会社に相談してみるのも良いでしょう。
片道送迎の料金計算方法
貸切バスを片道のみで利用する場合、以下の計算法で算出されます。
移動距離×移動単価+移動距離×時間単価
なお、各種単価は国土交通省により、管轄する地方運輸局ごとの最低金額基準が定められています。基準を下回らないようであれば上限はありません。バス会社は最低基準を下回らなければ自由に料金を設定できるので、時期や利用時間、バス会社によって料金の幅があります。
例えば夏休みやゴールデンウィークなど長期休暇であれば料金が高い一方で、12月〜1月や平日などは安くレンタル可能です。同じ条件でもバス会社によって料金が異なるため、まずは見積もりをして比べてみましょう。
片道送迎の用途
ここでは、片道送迎の用途についてご紹介します。貸切バスは短距離移動やピストン送迎に多く利用されているため、用途やシーンに合わせて使い分けをしましょう。
空港送迎
近年ではLCCなど格安で利用できる航空便も増えており、今後も利用が拡大するでしょう。しかし、航空便を使った旅行や出張は荷物も多くなりがちです。また、空港へ向かうだけ、空港からホテルへ向かうだけといった片道だけの利用が多いのも空港送迎の特徴でしょう。貸切バスでは空港や主要ターミナル駅までの送迎が可能で、そのまま直接目的地に向かえるので非常に便利です。
宴会送迎
社員旅行や慰安旅行、自治会旅行などで観光や旅行をすることもあるのでしょう。特に遠方の場合、マイカー利用も1つの手です。しかしそうなると、仲間内で運転手役を決める必要があります。また、運転手だけお酒が飲めないので、宴会参加も思いっきり楽しめないですよね。そのような時に便利なのが貸切バスです。運転役を決める必要もなくバス内でも飲めるので、特にお酒が好きなメンバーでの長距離移動にはおすすめですよ。
試合遠征送迎
一般的な部活やスポーツクラブでは、年に数回、強化合宿や強化試合に臨みます。普段とは異なる環境や対戦相手との試合は、選手にとって良い刺激となり、高い成長を望めますよね。しかし、競技によっては参加人数の多いスポーツもあれば、多くの用具の持ち込みが必要なスポーツもあります。そのため、遠方になりやすい強化合宿や遠征では、集団での移動に加え、スポーツ用具を簡単に運搬できる貸切バスがおすすめです。貸切バスであれば、乗り換えの必要な公共交通機関と違い、直接合宿地や試合会場に向かえます。万全の体制で試合に臨めますよ。
貸切バスを片道利用した場合のモデルケース
ここでは、貸切バスの片道利用モデルコースをご紹介します。ご希望の出発地や目的地に合わせた使い方ができるので大変便利です。
自宅から成田空港まで複数家族で送ってもらうケース
小さいお子様や年配者がいる場合、荷物が多かったり公共交通機関での移動はどうしても難しいですよね。そのような時は貸切バスでの移動がおすすめです。
東京23区内から成田空港まで貸切バスを利用する際の料金相場は以下となります。人数が多くなるほど料金が安くなるのはもちろん、タクシーのようにメーター料金制ではないため、渋滞なども気にせずに移動ができますよ。
なお、貸切バスの料金は以下で計算されるため、端数がある場合は注意しましょう。
- 走行距離の端数が10km未満→10kmに切り上げる
- 走行時間の端数が30分未満→切り捨て、30分以上→1時間に切り上げる
■3家族10名でマイクロバスを借りた場合
- (自宅1)二子玉川
- (自宅2)品川
- (自宅3)市川
- 成田空港
- 片道利用:3時間(二子玉川〜成田空港)+2時間
- 走行距離:91.3km
- 時間計算:5時間×4,770円(小型車の時間単価)=23,850円
- 距離計算:100km×120円(小型車の距離単価)=12,000円
23,850円+12,000円=35,850円
・距離単価=1kmあたり/時間単価=1時間あたり(円)
・バスの回送と安全点検2時間を加えて計算
・高速道路、駐車場代など実費は含まれません
・2023年8月25日に国土交通省から発表された「新公示運賃額」で計算した最低料金です
・バス会社から乗降場所までの回送代は含みません。
都内の会社から鎌倉まで送ってもらうケース
都内から気軽に行ける観光スポットとして人気の鎌倉は、社員旅行でも人気のスポットです。鶴岡八幡宮や鎌倉大仏をはじめ、紫陽花や紅葉など季節によって楽しめる植物も魅力でしょう。社員全員で貸切バスを利用すれば、乗り換えや大人数によるストレスもありません。
■社員40名で大型バスを借りた場合
- (会社)新宿
- 神奈川・鎌倉
- 片道利用:1時間30分(新宿〜鎌倉)※高速道路を利用した場合+2時間
- 走行距離:66.6km
- 時間計算:5時間×6,580円(大型車の時間単価)=32,900円
- 距離計算:70km×160円(大型車の距離単価)=11,200円
32,900円+11,200円=44,100円
・距離単価=1kmあたり/時間単価=1時間あたり(円)
・バスの回送と安全点検2時間を加えて計算
・高速道路、駐車場代など実費は含まれません
・2023年8月25日に国土交通省から発表された「新公示運賃額」で計算した最低料金です
・バス会社から乗降場所までの回送代は含みません。
都内の会社から草津温泉まで送ってもらうケース
社員旅行で人気のスポットいえば草津温泉でしょう。都内から高速を利用すれば、3時間弱で到着するため、気軽に行ける観光スポットの1つです。貸切バスであれば周りの人を気にせず仲間内だけで楽しめるので、行きも帰りも存分に自分たちだけの時間を堪能できますよ。
■社員27名で中型バスを借りた場合
- (会社)新宿
- 草津温泉
- 片道利用:3時間12分(新宿〜草津温泉)※高速道路を利用した場合+2時間
- 走行距離:175km
- 時間計算:5時間×5,560円(中型車の時間単価)=27,800円
- 距離計算:180km×140円(中型の距離単価)=25,200円
27,800円+25,200円=53,000円
・距離単価=1kmあたり/時間単価=1時間あたり(円)
・バスの回送と安全点検2時間を加えて計算
・高速道路、駐車場代など実費は含まれません
・2023年8月25日に国土交通省から発表された「新公示運賃額」で計算した最低料金です
・バス会社から乗降場所までの回送代は含みません。
新公示運賃額参照:https://www.bus.or.jp/cms/wp-content/uploads/2023/09/bus_fare_change_20230901.pdf
片道送迎の注意点
貸切バスで片道送迎をする場合、いくつか注意点もあります。ここでは3つの注意点をご紹介するので、参考にしてみてください。
時間の変更がしづらい
まず1つ目は時間の変更がしづらいことでしょう。貸切バスは「運行管理者」が走行ルートや休憩場所を管理しており、当日はそのルートに従って走行します。事前に、お客様の利用時間や日程、目的地に合わせた最適なルートを計画しているのです。そのため、直前の時間変更は難しくなっています。安全面に考慮しつつ効率よく巡れるようなルートを希望の場合は、時間変更はおすすめしません。
追加で料金がかかる場合もある
貸切バスを長時間利用する場合、集合時間に遅れたとしても次の経由地で滞在時間を短くする、などの対処ができます。また、行き先を減らしたり行程を調整することも可能です。また、渋滞などやむ得ない遅延でも、使い料金の対象にならないことも多くなっています。一方で短時間利用だと、遅れがそのまま行程の時間延長になり、料金が追加でかかってしまう場合もあります。もし片道送迎など短時間利用で利用する場合は、余裕のあるスケジュールが大切です。
忘れ物を受け取りにくい
貸切バスにおいて忘れ物があった場合、基本的にはご自身でバス会社まで受け取りに行くか、もしくは着払いでの郵送となります。往復で貸切バスを利用している場合、現地にバスがあるので往復時に行きの忘れ物を確認でき、帰りに忘れ物をしたとしてもイベントが終わった後なので大きな問題にもほとんどつながりません。一方片道のみで貸切バスを利用する場合、移動先の現地で忘れ物をしてしまう可能性もあります。片道利用の際は、普段よりも忘れ物への注意を払いましょう。
まとめ
空港送迎や宴会送迎など、様々なシーンで貸切バスの片道利用が可能です。往復で利用するより格段に安くなるかは利用ケースによりますが、目的地から空港まで、空港から目的地までといった使い方もできるので非常に便利です。
とはいえ、バス会社や利用するシーズン、車両などによって料金が異なるため、最終的な料金を知りたい場合は見積もりを行いましょう。