セーフティーバスとは?安全な貸切バスの選び方
2023/01/23
貸切バスの安全性が評価されているセーフティーバスを知っていますか?
貸切バスによる事故が社会問題となっている今、貸切バス事業者もより安全性向上の意識が高まっており、ますます貸切バスの安全・安心は重要な選択基準に。
貸切バスの選択基準が「安さ」から「安全性」へと移り変わってきています。
今回は「貸切バス事業者安全性評価認定制度」や、それにより認定されるセーフティーバスについてご紹介します。
セーフティーバスとは
貸切バスは観光バスとしてだけではなく、団体やイベントの輸送など多くのシーンで利用されています。
しかし、サービスを利用する旅行者や旅行会社は、利用する貸切バスの安全が確保されているのかを判断することが難しいのも現状です。
そのため、安全性が考慮されていない貸切バス事業者を選んでしまう可能性もあります。
そこで台頭してきたのが「セーフティーバス」です。
「セーフティーバス」とは、日本バス協会が実施する厳正な審査基準をクリアしたバスのこと。
貸切バスの安全性や安全の確保に向けた事業者の取り組みを強化することで、より安心な貸切バスサービスの利用を目的としています。
セーフティーバス(貸切バス事業者安全性評価認定制度)
セーフティーバスに認定されるためには、「貸切バス事業者安全性評価認定制度」を受ける必要があります。
バス会社の安全への取り組みはお客様から見えにくいもの。
そのため、平成23年から貸切バス業者の安全性や安全確保に取り組む状況を「見える化」する評価制度である「貸切バス事業者安全性評価認定制度」が開始されました。
全37項目にのっとり行われる審査を通過した貸切バスのみ「セーフティーバス」の認定を受けられます。
その審査内容は厳しく、不正ができないようにするなど、貸切バスの安全性確保に向けた取り組みが決められているのです。
気になる認定制度の審査基準
貸切バス事業者安全性評価認定制度は、日本バス協会の訪問調査により行われます。
法令遵守事項37項目に則った審査で、実際に現地で対象のバスを確認することで不正を防ぎ、高い信頼性や安全性が期待できるのです。
認定後の有効期間は2年間。
認定を継続させるためには、必ず審査を受けなければなりません。
以下、審査の一例です。
- 運転手のアルコールチェッカーの徹底
- ドライブレコーダーの導入
- 運転手の睡眠時無呼吸症候群(SAS)・脳検診の実施
- 過去2年間の死亡事故発生、過去1年間の有責重症自己の有無
- 事業会社による安全確保のための責任体制
- 運輸安全マネジメント認定セミナーの活用
- 安全方針の策定・全従業員対象の安全確保への取り組み
一見すると当たり前の内容ばかりですが、「貸切バス事業者安全性評価認定制度」は当たり前をどれだけ確実に、継続的に行えているかを審査する制度なのです。
不正ができないランクアップ制
また、貸切バス事業者安全性評価認定制度は「星の数」によってランク付けを行っています。
【初申請】
★:審査合計点数が60点以上
【更新1回目】
★:審査合計点数が60~79点/★★:80点以上
【更新2回目】
★★★:更新1回目以降、継続して審査合計点数が80点以上
これは、「更新審査の時だけ安全性への取り組みを強化する」悪徳事業者の排除を目的につくられました。
安全性を確保する取り組みの継続性がない場合は、ランクアップできない仕組みとなっているのです。
厳しい審査をクリアしたら、三ツ星の「SAFETY BUS(セーフティーバス)」マークステッカーが付与されます。
継続して安全確保の取り組みを実施している証と言えますね。
日本で認定されているセーフティーバスの数とは
2022年12月19日現在、貸切バス事業者安全性評価認定制度の認定を受けているのは、2,059事業者となっています。
2022年度更新の認定事業者は807事業者であり、その数は着実に増え続けています。
この807事業者の内訳は以下です。
- 一つ星認定:213事業者
- 二つ星認定:149事業者
- 三つ星認定:445事業者
これらの事業者は、安全対策の取り組みが徹底されています。
「貸切バス事業者安全性評価認定制度」から安全性への取り組みを評価され、認定を受けた事業者には「SAFETY BUS」のステッカーが配布される仕組みです。
貸切バスの安全性に関しては、該当するバスに「SAFETY BUS」ステッカーが貼ってあるか否かも判断材料の1つとなりますね。
なぜ貸切バス事業者安全性評価制度ができたのか
そもそも、なぜ「貸切バス事業者安全性評価制度」ができたのかご存じでしょうか?
平成23年に取り組みが開始された「貸切バス事業者安全性評価制度」ですが、それまでは貸切バスの安全性を示す評価制度は存在しませんでした。
ここでは「貸切バス事業者安全性評価制度」ができるまでの道のりと、その背景を見ていきましょう。
法整備までの長い道のり
平成23年に制定された「貸切バス事業者安全性評価認定制度」ですが、それまで貸切バスの安全性を示すような仕組みは存在しませんでした。
しかし、平成19年に大阪府・吹田市で起きた「吹田スキーバス事故」を発端に、貸切バスの安全性が考えられるようになったのです。
この事故は、貸切バスの運転手が、法律で定められた労働時間を上回る過労状態だったことが後の調査で明らかになりました。
その後、貸切バスに関する安全等対策検討会が開催され、貸切バスの安全性を図ろうと「貸切バス事業者安全性評価認定制度」が確立され、安全確保の取り組みを強化したセーフティーバスという仕組みが生まれたのです。
それでもなくならない事故
ところが、貸切バスの安全を促す「貸切バス事業者安全性評価認定制度」を制定した後も、貸切バスによる衝突事故や、ドライバーの健康が起因となって起こる事故が多発しています。
令和1年には、貸切バスの事業者は4,000事業者を超えていますが、貸切バス事業者の数が一番多かった平成23-25年から500事業者ほど減っているのが現状です。
それでも、セーフティーバス認定されている数が事業者の約半分である【2,059事業者】であることから、貸切バス事業者の安全性はまだまだ発展途上の段階だと分かりますよね。
安全教育へ力を入れる貸切バス会社
近年、安全教育に力を入れる貸切バス会社が増えてきました。
特に「貸切バス事業者安全性評価認定制度」が確立されてからは、貸切バス事業者の安全性・安全の確保に向けた取り組みが可視化されるように。
その評価を認定・公表することで、貸切バス利用者や旅行会社がより安心して事業者を選択できます。
貸切バス事業者は、安全への取り組み促進により安全なサービスを提供できるのです。
使う側も提供する側も、安心して貸切バスと向き合いたいですね。
セーフティーバスに関する素朴な疑問
厳しい審査基準により認定されるセーフティーバスですが、取り消しに該当する行為や書類審査の内容など、気になることも多いですよね。
ここでは、セーフティーバスに認定された後の流れや書類審査の内容、そもそもセーフティーバス認定されていない貸切バスの安全性についてご紹介します。
事故を起こしたら星は取消しになるのか
セーフティーバスに認定された後、死傷事故や転覆事故・悪質違反による事故を起こしたり、車両停止以上の行政処分を受けたりしてしまうと、認定が取り消されてしまいます。
それだけではなく、一定期間「貸切バス事業者安全性評価制度」への申請も不可に。
継続的に厳しく安全性の管理をしている「貸切バス事業者安全性評価制度」。
事故や違反を起こした貸切バスは、そもそも認定の審査すら受けられない仕組みになっているため、高い信頼性があると言えますね。
書類審査では何を見ている?
「貸切バス事業者安全性評価制度」では、現地調査以前に書類での審査も行われます。
- 運輸支局等に提出した一昨年又は前年度の「事業報告書」「輸送実績報告書」「安全情報報告書」が提出されているか分かる資料
- ドライブレコーダーが全車両に導入されていることが分かる資料
- ドライブレコーダーから取得した映像・画像等を使い、全運転者に4半期に1 度以上の頻度で実施した教育記録と教材の映像や教育状況の写真
これらの内容が分かる資料を予め提出後、問題なければ現地調査へと移ります。
書類審査に通過しない限り、そもそも評価の対象とならないため、抜けがないようしっかりと確認しましょう。
セーフティーバスの星がないバス会社は安全ではないのか
「セーフティーバス認定を受けている貸切バス会社はしっかりと安全性が確保されている。」
では、セーフティーバスの星を持たない貸切バス会社は、安全ではないのでしょうか?
結論からいうと、セーフティーバスの星がないバス会社でも安全なことがほとんどです。
「貸切バス事業者安全性評価制度」の制定後、平成25年には適正な労働時間や走行距離・車両のチェックを定めた「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」が国から発表されました。
そのため、セーフティーバスの星がなくても、ほとんどの会社はこの法令に基づいた安全管理や労働時間で業務を行っています。
貸切バスによる事故が多発・社会問題に発展したことも起因し、貸切バス会社の安全管理への意識も高まってきていることも、安全である理由の1つでしょう。
セーフティーバスを予約するためには?
国や日本バス協会が主導する安全性への取り組みもあり、バスの安全対策は確実に強化され続けているため、近年はだれでも手軽にセーフティーバスを借りられるようになりました。
「貸切バス事業者安全性評価認定制度」の認定を受けた事業者は、国土交通省並びに日本バス協会のホームページ上に公表されています。
また、セーフティーバス認定された貸切バスは、車体に「SAFETY BUS(セーフティーバス)」のステッカーが貼られているため、各事業所のホームページや従業員の名刺でも確認可能です。
公式ホームページへの記載や、ステッカーが貼っていない場合は、直接貸切バス事業者に問い合わせてみるのも1つの手ですね。
大切な家族や社員の移動手段である貸切バスの安全対策は、貸切バスを選択する上で重要な判断材料です。
国や日本バス協会が継続的に安全対策への取り組みを強化しており、安心して送迎できる「SAFETY BUS(セーフティーバス)」の導入が広がっています。
用途に合わせたプラン、車種を選択でき、かつ安全性を確認した上で、貸切バスを選びたいですね。
インターネット・FAXで簡単に見積もりを依頼できますので、ぜひ利用してみてください。